植物の声無き声を感じとる

植物は喋らない。そのため、人間は植物の健康状態を様々な情報から間接的に覚る必要がある。

農家の人々は植物の色、気温、湿度、日照時間、雨量、風、土のコンディション、使った薬品やその量などを常に意識し、そこに長年の経験を当てはめる事で植物の声を聞いているそうだ。さらに日常の中での細かい気配りというのも、植物を育てる能力にも関係してくる。

ちなみに武道でも覚るということは重要なことと教えられていてハッとした。常に師範や先輩が何をやっているか覚り、先読みをして行動するということを叩き込まれた。これは、人々の挙動などからいち早く敵の存在を察知し、制圧またはその場を去って被害を未然に避けるというスキルを養うためだ。

話がそれたが、野菜をJAに出荷する際に、JAの職員は箱や袋詰めされた野菜の詰め方、トラックへの積み方などから作業者の能力を推し量る事ができるらしい。某農園がJAに出荷する際にナスの袋を見ただけで「この人、仕事できないでしょう」といわれたことがあり、確かにその作業者は仕事ができない人だったということがあったりするそうで。

農業の人はカンが良いというか、空気を読み取る力に長けている感じがしていたが、それは喋らない植物を相手にしているため人間くらい簡単に見抜けてしまうのだろう。